日本は、アジアモンスーン地帯にあって、この気候、風土とと もに、国を経営してきました。 中でも、河川とその流域は、生産、生活の場であり、国土基盤の中枢を占めています。 そのため河川の挙動を理解すること は、いつの時代においても重要な課題として認識され、多くの研究がなされ、実用化されてきました。
しかし、地球の温暖化の問題や、生物多様性の回復、より安全、安心な水資源の供給などの問題提起の中で、今後は、これまで研究の中心であった流水挙動の 解明を超えて、より高度で、より合理的な複雑系水循環機構の解明を必要とし、物質循環や生物生態、経済分析などを総合的に理解することが求められるに至っ ています。
これまで日本では、複雑な地形・気候に対応して、計算機の発達や数値解析技術の進歩とともに、数多くの水関係(水理・水文・物質循環解析等)解析ソフト ウェアを開発してきました。 これらは、通常、研究機関ごと、企業あるいは研究者ごとに独自に知見や工夫を導入し、独自の水理現象の解明等の研究および河 川事業の実務に用いられてきています。
しかしながら、これらの日本製ソフトウェアは、操作性とソフト間・DB間の連携性において十分な進化を遂げておらず、また、ソフトウェアの透明性にも、 課題が残されており、これら操作性・親和性・透明性を確保して、合理的な水循環機構を解析できる環境を整える必要があります。
このような状況を鑑み、さまざまな水理・水文現象の複合現象を解析するために複数の解析エンジン(要素モデル)を同時に稼働させることができるソフト ウェアの共通プラットフォームを構築することにより、これまで実現不可能であった複雑な数値シミュレーションをより高度なレベルで実現し、新たな水管理・ 河川管理に関する提案を可能とすることを目的としています。
このプロジェクトは、気候風土に共通性のあるアジアモンスーン地帯を対象に、様々な研究者・技術者の共通基盤開発・要素モデル開発への参加を求め、目的 を達成しようとするものです。

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