CommonMPの設計思想

提供: CommonMP
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はじめに

 CommonMPは個々の水理・水文過程を表現する解析モデルをつなぎ合わせて河川流域の水・物質循環のシミュレーションを実施することができる水理・水文解析エンジンのプラットフォームです。

 CommonMPの目的は色々あります。学(大学・研究機関)向けには、水理・水文解析モデルの研究開発の活性化、官(河川管理者)向けには、技術職員の技術力向上、水理・水文解析の透明性の確保等です。これらを通して、学サイドの水理・水文解析による研究成果を迅速に現場の河川管理・計画に反映させ、河川事業を高度化・効率化を図ろうというものです。

 このため、CommonMPプロジェクトでは、水理・水文解析モデルの研究開発を担当する学セクター(土木学会)、現場の河川事業の実施主体である官セクター(国土交通省)、もっぱら解析作業を実施を担当する民間セクター(河川コンサルタント)がそれぞれの立場で協力することとしています。CommonMPの目的は上に挙げた通りですが、それを達成するため方法は、CommonMPという共通基盤を通した水理・水文解析についての作業分担と情報の共有であると言えます。

 このような観点は、CommonMPの設計思想に色濃く反映されています。その一つは、様々なセクターの人たちがそれぞれの適した形でソフトウェアを使えるようにユーザインターフェイス等を整備したところです。必ずしもシミュレーション・ソフトウェアを使い慣れていない河川事業の現場の技術者にも使い勝手がいいように、ユーザフレンドリーなGUIを整備しました。大量の計算をこなす河川コンサルタントのために、CUIを付け、バッチジョブにより計算を繰り返し行うこともできるようにしました。解析モデルの開発者に対しては、モデル開発の効率化・省力化を実現できるように、解析モデルのソースコードのかなりの部分をプラットフォーム側で提供することとしました。また、解析モデルの開発者の権利を保護するために、CommonMP上で用いる解析モデル(要素モデル)は、必ずしもソースコードが提供されなくても、実行形式のファイルさえあれば、計算できるようになっています。CommonMPはさまざまなセクターのユーザにとって使いやすいように、ユーザインターフェイス等が設定されています。

 もう一つの観点である情報共有については、演算プロジェクト(シミュレーションに必要なデータ及びシミュレーション条件等をひとまとめにしたもの)のポータビリティ(可搬性)と共用性を重視したことです。CommonMPの演算プロジェクトは、容易にPCからインポートやエクスポートでき、他のPCに移動させても動かすことができます。また、ネットワーク越しに共用ドライブ上の演算プロジェクトもクライアントPCのCommonMPから動かすことができるようになっています。事業所間においては、メールに添付して演算プロジェクトを送付することも可能ですし、同一事業所内においてはLAN上で演算プロジェクトを共有することも可能です。

 このように、CommonMPは、それぞれのセクターのユーザにとってユーザビリティがよいことと、シミュレーションのための作業分担と情報の共有を図ることを開発方針としています。

CommonMPの利用に当たっての考え方

 上記のような設計思想で開発されたCommonMPを利用するに当たっては、それに沿って使い方をするのが効率的です。河川事業等の公共事業に利用する場合は、事業主体と解析業務を担当するコンサルタントとの間の作業分担と情報共有が重要になります。

 事業主体から発注された解析業務で用いる場合、発注者側の事業主体も受注側のコンサルタントも双方ともCommonMPで作業を行うことを前提として、その上で、演算プロジェクト作成やシミュレーションの実施はコンサルタント、それを踏まえたパラメータ感度分析や仕様検討は発注者側が自ら行う等、従来までは100%コンサルタントに任せていた解析業務の特定部分について発注者側が担い、今まで以上に主体的に解析業務に係るわることとします。また、この解析結果を踏まえた次の業務の仕様検討等に当たっても、CommonMP上で概略的な解析を行うことにより検討します。つまり、作業量が多いところはコンサルタントが実施し、仕様の決定等の当該業務の本質的な部分について、これまで以上に事業主体が主体的に係るという使い方です。

 これにより、業務の品質の向上と事業主体の技術職員の技術力の向上を図ります。